【写真】月山とベース予定地。写真右にあるのは愛車の白熊。
【写真】立谷沢川は月山から流れ出し、最上川にそそぐ。雪解け水が勢いよく流れている。
最上川のベースを探しに走る。途中、緊急ランディング場と定めた場所をよくよく確認すると月山が割と近いことに気がつく。急遽、立谷沢川を遡り、月山の離発着場探しにはいる。立谷沢川は青白い雪解け水がとうとうと流れ、うすい茶緑の最上川とは対照的だった。川にそいに広がる田んぼは代掻きが始まっている。田に水が入りいよいよシーズンだ。緩やかな谷間の中心に川が流れ、その両側を田んぼが続く。今日はラッキーなのだろう。離発着に使いたい場所がすぐに見つかった。また持ち主の連絡先も看板がたてかけてあったので分かった。どうやら自治会が管理しているようだった。後日訪ねることにした。
そのまま、最上川を遡りベースを探す。Googleマップでチェックし「ここしかないだろ」と決めた場所へ向かう。するとなんということか。2006年にNHKと最上川をやったときに使用した正に同じ場所だったのだ。嗅覚はかわってないということか。ニヤけながら当時を思い返す。当時は嫁と一緒にロケに来ていた。番組名は「天空の旅人 紅葉列島空の旅」(NHKハイビジョン特集)。今でも再放送され、NHKアーカイブスにもなっている作品だ。
当時は、番組の意味をよく考えずに、ディレクターの強引さに頭にきて冷戦状態だったっけ。「撮れるときは撮れる、風を待つんだ」と俺は言い放ち、なにがあろうとも頑として飛べる風を待った。相当にスタッフからプレッシャーを掛けられ、それを嫁はブロックしてくれた。それでも「旅した大地を空から望む」という自分のど真ん中を通した企画だったので、一発決めるしかないと意気込んでいたのは確かだった。番組では紅葉前線を追いかけ、美瑛、大雪山、知床、恐山、薬研渓谷、十和田湖、奥入瀬渓流、最上川の紅葉を飛んだ。ガムシャラだった。
それから15年が経つが、改めて同じ空間を飛ぶ機会がここ数年で何度かあった。技術と装備は確実に良くなっている。きっと当時よりももっと撮れるだろうと思い飛ぶとビックリした。2006年にとったフライトラインは恐ろしくて飛ぶことができなかったのだ。風の巡り合わせもあるが、当時の俺は鉄砲玉だったのか、と。
きっとその差は若さなんだろうと最近思う。空間を知りたい思いと、自分自身を証明するという覚悟。じゃ、今がヘボイかというとそうとも言えない。ただ、飛ぶ上での限界と映像を成立させるための見切りが効くようになったのだろう。歳をとるということはそうゆう事なのかもしれない。だから若いときに思い切り突っ込んでキャパ広げといた方がいいぞ、と若いもんの背中を押している。で、オヤジはオヤジでさ、活動を続けることで見えてくる世界を飛んでいくのさ。
どうやら2006年当時の俺は最上川を飛んだとき、月山も鳥海山もさほど目に入っていなかったようだ。紅葉一直線。なんという鉄砲玉。今じゃ、それら含めて山形を捉えようとしているんだよ。月日を重ねるってやつは悪いことじゃない。明日、再訪の最上川は何を見せてくれるだろうか。こりゃ楽しみだぜ。
若いもんに負けちゃいられないね、頑張っていこうぜオヤジにオバチャン!
Have a nice day !!!
【天空の旅人 紅葉列島空の旅】
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